2019年12月17日

ジェンダーギャップ指数ランキング、日本は121位

この時期に毎年WEF(世界経済フォーラム)から発表される「ジェンダーギャップ指数ランキング」。2019年12月17日発表の最新報告では、世界153 ヶ国、日本は121位。この10年での最下位。落ちるだろうと思っていた私ですが、ここまで落ちるとは、と驚きながら報告書を読みはじめました。すると・・・
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経済分野:115位
政治分野:144位
健康分野:40位
教育分野:91位

やはり一番大きいのは政治でのランキング。
例えば、国会議員に占める女性の割合は135位。女性閣僚の比率は139位です。
女性議員、女性大臣などが増えることはとても重要なことです。女性なら誰でもいいのか、という人がいますが、これまでの日本は、男性なら誰でもいいのか、という状態だったようにも捉えることができる状況があったと思いますから、まず半々にしてみましょう、という心がけは、将来への道筋として良いのではないかと考えます。政治家が様々な経済や生活への政策を作り、政治家の言葉が国民に聞こえてくるのですから。

そして経済部門が115位。女性の管理職比率は、なんと131位です。

WEFは、これから企業にはこんなことを求めるとも書いてあります。
• Identify their top five emerging high-growth roles, including high-volume roles and leadership roles
まず成長性からも、人数からも、リーダーシップの側面からも必要となる役割(役職)を5つ明確にする

• Recruit 50% female talent into their top five emerging high-growth roles by 2022, across all seniority levels
上記の役職は、シニアポジションも含め、2022年までに女性を50%採用する

• Develop a strong gender-equal reward system by 2022 that addresses unconscious bias and includes equal pay and equal opportunities
2022年までに、同一労働同一賃金の元、無意識の偏見をなくし、男女が平等に報酬を受ける仕組みを組み立てる

ビジネスの世界で、女性の従業員やパートは増えてきたけれど、管理職、役員、取締役、などは本当に少ない。決定権を持つポジションに女性がいることで、物事を決めるルールも、社内の風土も、役員会のガバナスも、様々プラスの変化が起きます。人数を増やすことが最終目的ということではなく、女性の人数が増えることで、イノベーションのために、多様な視点を組織に活かせる組織に変革していくことが大事なのです。

この、経済分野を前進させるために、私は組織向けに「ダイバーシティインデックス」を開発しました。ジェンダーに限らず、様々な多様性をみて、組織のダイバーシティと企業価値・経営成績とどんな関係があるのかを数値化して分析するものです。毎年1度参加して、変化を見ていくものですが、2020年参加企業に向けて1-3月に実施します。ダイバーシティが経営戦略だと理解している企業の健康診断や戦略のためのデータとして活用していただきたく思っています。

そして気になるのが、教育。91位ですが、中を見ると大きく動いたのが、Enrolment in secondary education(中等教育への参加)。128位に転落です。
調査の定義を読むと、
「Percentage of girls and boys in the official primary school age range (net rate) who are enrolled in secondary education (ISCED 2 and 3). It excludes ISCED 4, which is post-secondary, non-tertiary education. Whenever data on this indicator is not available, the “Percentage of students in secondary
education (ISCED 2 and 3) who are female” variable is used instead.
Period: 2017 or most recent year available
Source: UNESCO, UIS.Stat Education statistics data portal.」ということで中学校や高校の在籍・就業率を元に出しているようですが、ここが1年で激変したのか、ちょっとこれはもうすこし調べてみたいです。

ということで、110位から、121位へ。

私は昨年ジュネーブにあるWEFの本部に訪問した時、日本のランキングを簡単に上げないでほしいと話しました。「ランキングを上げないでくれといったのは、あなたが初めてだけれど、なぜか」と聞かれたので、日本は努力を始めたばかり。これでランクが上がると、政治家もビジネスリーダーたちも、「この程度で良い」と勘違いしてしまう。だから、もっと前進するために、上げないでほしいと、伝えたのです。もちろん私が言ったから下がったわけではありません、が、こんなに下がるとは。

ダイバーシティは女性の数だけではありません。女性の割合だけでもない。でもそれをあげるのが第一歩であることは間違いありません。これからもう少し、報告書を読み、また、随時みなさまにシェアしたいと思います。今日はこれから大学での講義をします。最新情報を大学生に伝えます。







Posted by kaorisasaki1 at 15:01│Comments(1)
この記事へのコメント
WEFの女性地位ランキング下落のコメント興味深く拝読。
米国のようにアファーマティブアクションを法的に義務付ける必要がある段階にさしかかったに思います。ジュネーブでランキングを急に挙げないで欲しいと仰られたのは名言です。ブラボー!
私も市民大学講座でこのWEFのランキングのこと、高齢化と少子化の都市と地方でしわ寄せが子育ての女性に押し寄せていることなど講座のなかで白書のデータなどで説明しております 
2020年をなんとか希望の始まる年にしたいものです 
先日の品川プリンスホテルのご講演会出席させていただきました。カサノバさんは米国人らしく演壇を左右に移動しておしゃべり、よかったです。佐々木さんのお話しも関心しました。
またお目にかかれることを期待しております。
Posted by 瀬藤 澄彦 at 2019年12月18日 12:34