2018年08月30日

石弘光先生の訃報にふれ

石弘光先生の訃報に悲しんでいます。
政府税制調査会会長、一橋大学長などと務められた石先生。膵臓がんでした。
わたしは、国立科学博物館の経営委員として、数年間ご一緒していました。いつもニコニコしていて、わたしが一度遅刻したことをネタ!に、少しでも早く到着すると「おっ、今日は早いねえ〜」などと楽しく声をかけて、いつも気にかけてくださいました。経営委員会で石先生にお会いするのが楽しみでした。

昨年、日経新聞で、癌の闘病記録を書かれているのを拝読し、驚いて、メールをしました。一度お伺いしたいと伝えると・・・IMG_5972

「懐かしいメールですね。科博時代のことをおもい出しました。目下、外見上は元気に見えるのですが、抗癌剤の副作用(だるさ・倦怠感、ふらつき、手足のしびれなど)に悩まされており、極力外出ひかえております。そこで佐々木さんに会うのは、無理な状況です」などと書かれたので、またご連絡すると、今度はこんなメッセージをお送りくださいました。

「癌は誠に理不尽です。食事に気を付けようが、健康を自負しようが、メタボでないといっても、全く関係なく、襲いかかってきます。人生を道に例えると、地雷(癌)が埋没されている道をあるいて突然に地雷を踏んだということです。運ですよ。
 まだまだ現役で活躍中なのですから、気になったら、一度徹底的に専門医に診断してもらうことです。今後、安心して仕事に専念できますよ。老婆心ながら」

実は、国立科学博物館でご一緒していた岡野俊一郎も癌になられたこともあり、メールの最後は、

「岡野俊一郎さんも、肺癌で先日逝かれましたね。たしか科博で3−4年前にお目にかかったはずです。あれからまだ、数年間頑張ったわけですね。私も見習います。目下、闘病記の執筆に専念しています」

石先生の、「運ですよ」という、どうにもならない悲しみの言葉に、わたし自身、どうお返事していいかわからず、スポーツクラブに通うことにするとだけお伝えしました。そして

「やっぱりメールからも、
石先生の優しい声が聞こえてくるようで、
とても嬉しいです。

毎日が穏やかでありますように。
大好きな石先生へ」

と、お返事しました。

しかしこのメールのやり取りからほぼ1年で、石先生は、逝かれました。早すぎます。とてもとても温かい方でした。今でも笑顔が目に浮かびます。

心からのご冥福をお祈りします。

Posted by kaorisasaki1 at 00:02│Comments(0)