2006年10月18日

出産について

 奈良県大淀町立大淀病院での、分娩中意識不明に陥った妊婦へのニュースを……▼
見て、「18病院拒否」という点より、この病院の診断ミスと放置の方が、大きな問題ではないかと考えています。詳しく調べていないので、間違っていたら教えていただきたいのですが、ご家族のインタビューを聞く限りでは、けいれんを起こしたあと、約2時間、そのまま放置され、主治医は仮眠をとっていた、とのこと。内科医が脳のCTをとるように示唆したのに、主治医は拒否した、という報道もありました。もしそれが本当だとすると、18病院が拒否したから亡くなったというより、この病院の体制や、主治医の取り組み方に問題があると考えます。
 私は出産する時に、さまざまなことを考えました。妊娠中の検診と違い、出産には、リスクが伴うと考えたのです。そして思いがけない事態が発生したときには、他の様々なリスクの中でも特に、出産の場合は、対応・解決へのスピードが肝心です。元気な出産であれば、どこでも産めるのですが、「危機管理」という点から考えると、産婦人科の医師が常時2人以上いて、緊急手術に対応できる人的+施設的な条件が整っている病院を選んで、出産しました。
 どの病院も、そのような体制にはできないという、産科医不足という問題があります。だからこそ、緊急事態であるかどうか、主治医が判断し、スピード感を持って、適切な対応をして欲しいと思うのです。体制の整っていない病院は、拒否するしかないという状況もあるでしょう。出産にまつまる訴訟が多いという事も聞きます。
 国は、「少子化」に取り組むのなら、産科医の育成や、病院整備など、しっかりしていく必要があるのでしょう。
 

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この記事へのコメント
風の中の産科 砂の中の僻地医
みんな何処(ドコ)へ行った 見送られることもなく
草原の小児科 街角の救急
みんな何処へ行った 見守られることもなく

地上にある医師を 誰も覚えていない 人は夢ばかり見てる

つばめよ高い空から 教えてよ地上の医師を
つばめよ地上の医師は 今何処(ドコ)に いるのだろう

崖の淵の産科 水底の僻地医
みんな何処へ行った 見守られることもなく
コンビニ医師を追って 赤ひげ医師を追って 人は氷ばかり掴む

つばめよ高い空から 教えてよ地上の医師を
つばめよ地上の医師は 今何処(ドコ)に いるのだろう

コンビニ医師を追って 赤ひげ医師を追って 人は氷ばかり掴む

風の中の産科 砂の中の僻地医
みんな何処(ドコ)へ行った 見送られることもなく

つばめよ高い空から 教えてよ地上の医師を
つばめよ地上の医師は 今何処(ドコ)に いるのだろう
Posted by カラオケ大好き♪ at 2006年11月12日 08:50
大淀病院看護師OGで患者さんの親戚も来院し、多くの人が集まり始めた。けれども受け入れてくれる施設が見つからない。担当医は当直室(仮眠室)か ら絶望的な気分になりながら電話をかけ続けたし、大学の当直医は大学の救命救急部門にまで交渉に行ったが子癇は産婦人科の担当で、我々は対処できないと言うことで受け入れ 拒否された。午前4時30分、呼吸困難となり、内科医が挿管したが、その後自発呼吸ももどり、サチュレーションは98%と回復した。その後すぐに国立循環器病センターが受 け入れOKと連絡してきたので、直ちに救急車で搬送した。患者さんは循セン到着後CT検査等で脳内出血と診断され、直ちに帝王切開術と開頭術をうけたが、生児は得られたも のの脳出血部位が深く、結局意識が戻らないまま術後8日目の8月16日死亡された。
Posted by 4 at 2006年10月22日 01:57
午前2時30分、産婦人科部長が家族に状況を説明、そのあいだにも大淀病院の当直医や奈良医大の当直医は大阪府をふくめて心当たりの病院に受け入れ依頼の電話をかけつづけ た。家族はここで「ベビーはあきらめるので、なんとか母体をたすけてほしい。ICUだけがある病院でもいい」と言ったので、NICUを持たない病院にまで搬送先の候補をひ ろげ、電話連絡をとろうとした。家族も消防署の知り合いを通じ、大阪府下の心当たりの病院に連絡をとって、受け入れを依頼した。
Posted by 3 at 2006年10月22日 01:56
午前2時、瞳孔散大を認めるも痛覚反応あり。血圧は148/70と安定してきた。この時点で頭部CTも考慮したが、放射線技師は当直していないし、CT室が分娩室よりかな り離れたところにあること、患者の移動の刺激による子癇の重積発作を恐れ、それよりも早く高次医療機関をさがして搬送するほうがよいと判断、電話をかけ続けたが、なかなか 搬送先がみつからない。
Posted by 2 at 2006年10月22日 01:56
当夜の当直は外科系は整形外科医、内科系は内科医、産婦人科は奈良医大から派遣の当直医。
患者さんは午前0時に頭痛を訴えて失神、ただ痛みに対する反応(顔をしかめる)はあった。産婦人科当直医は念のため内科当直医に対診を依頼、内科医は「陣痛による失神でし ょう、経過を見ましょう」ということになった。しかしその後強直性の痙攣発作が出現し、血圧も収縮期が200mmHgになったので、子癇発作と判断、マグネゾールを投与し ながら産婦人科部長に連絡した。部長は午前1時37分、連絡してから約15分程で病院に到着。以後二人で治療にあたったが、状態が改善みられないため、午前1時50分、母 体搬送の決断を下し、奈良医大へ電話連絡を始めた。
Posted by 1 at 2006年10月22日 01:55
いつもこのページを拝見しパワーを回復させてもらったり、みなさんの意見のいろいろな考え方に感心したりしています。内科医です。
今回の産科医も懸命に取り組んでいたと信じたいです。同業者を擁護するわけではありませんが、重篤な患者さんを前に適当に対処する医師なんてそういません。自分も家族同様に危機感を持って怖いのが普通です。人の命を預かるのは大変なプレッシャーです。結果的に判断に反省点はあるかもしれませんが、報道だけを判断材料に非難するのはどうかと感じました。テレビ等でも仮眠について非難されていることも見聞きしましたが、その場の状況も知らずに仮眠を非難するようでは、産科医の激務を理解することにも、産科医や小児科医不足を解消することにもつながらず、なんともいえないむなしさを感じます。
不利な状況が重なり、不幸な結果となった妊婦さんのご家族の心情も察し、ご冥福をお祈り申し上げます。
Posted by あぽろ at 2006年10月20日 22:27
マスコミの報道は 面白おかしく悪者を作り上げ、視聴者が喰いつく様に 多少は装飾してます。亡くなられた妊婦さんの冥福をお祈りしますが、病院は必死だったと思います。
Posted by R at 2006年10月20日 18:25
この出来事、マスコミの報道を見る限り、担当医がCTを撮らなかった為に妊婦さんが死亡したように思えますが、、、。
1)担当医は子癇と同時に内科医の助言で脳内出血の可能性も考えていたし、子癇が原因で脳内出血する可能性もあった
2)しかし、例えCTを撮って脳内出血を確認しても脳外科医が一人しかいないその病院では何も治療ができなかった
3)転送先が決まる前にCTを撮ろうとして、その刺激で子癇が悪化した場合、妊婦さんも胎児も救えない可能性があった
4)2と3の理由から、治療体制の整った病院に転送しCTもそこで撮るほうがよいと判断した
5)経過観察中に仮眠を取っていたのは、4日間連続して当直でほとんど睡眠を取れておらず、経過観察後に適切な判断処置を行うためにも睡眠をとることが必要だった
という可能性は考えられないでしょうか?
Posted by ともち at 2006年10月20日 07:53
専門職に対する社会の期待が揺らいでいます。
医者もしかり。教師のいじめの問題もしかり。先日は弁護士が逮捕されました。専門職というのは,技術や学力だけではなく,社会的な責任をきちんと負うべき職業であると思います。とすれば,ペーパーテストだけで資格を与える現在のシステム自体が間違っているのではないかと感じます。
私も専門職です。このニュースを見て,技術を磨くことも大事ですが,心も磨かねばならないと,自戒しました。
他方,私は,現在40歳にして子どもが欲しいと頑張っています。高齢出産です。このような事件が起こると,それでなくてもリスクが高いのに,この国では安心して子どもを産めないと不安が大きくなりました。
今回のケースは,加害者にも被害者にもなりうるものとして,決して他人事ではありませんでした。
Posted by りこさん at 2006年10月19日 11:13
仕事、と考えるから手を抜こうと思うのでしょうか。
甘い判断をされるのでしょうか。

目の前の人を救おう、助けたい、それは自分の使命だ、と感じて医療行為を行ってほしい、それは医療関係者ではない私のエゴでしょうか。

この件が、子供がほしいけど・・・と二の足を踏んでしまってる方々のブレーキにならないことを祈ります。
Posted by TINYBELL at 2006年10月19日 06:43
産婦人科ではないですが、うちの父も吐血をし、亡くなったのですが、吐血をしているとき、主治医は居ず、その下で担当していた、研修医上がりくらいの医者は、胃カメラしますか?輸血にしますか?と聞く始末!そして、輸血をお願いしてから、2時間くらいしないと、輸血用の血液が届かず、亡くなりました。もしかすれば、結果的には助からなくても、本人が望んでいるようにして欲しい!と、私も思いました。
市民病院なので、病院の至る所に、医者への謝礼は受け取りません!と、書いていながら、受け取る割には、誠意を見せてもくれず、入院していたにもかかわらず、輸血まで2時間もかかるとは?!と、言えば、パソコンが壊れていたから!大きい病院は、仕方がない?!大きい病院だからこそ、メンテがもっと必要なのでは?!と思います。
市民病院の医者も、公立校の先生も、お金を貰う前に、お金を払っている人の気持ちを考えるべきですよね!
Posted by norie at 2006年10月18日 22:38
私も「○○病院が拒否しました」という点より、この病院の診断ミスと放置の方が重大で、ニュース記事の見出しも後者であるべきでは?!と疑問でした。

最近は代理出産のことも真剣に議論され始めてきましたが、
社会として、単に「少子化」=産まない女性が多い のように捉えるのではなく、不妊〜妊娠〜出産〜産後〜子育て・・・様々な点に置いて制度を整えたりサポート体制を確立すべきだと思います。

私も30代で出産を望んでいる身として、今回のニュースは本当に残念でなりません。出産自体が怖くなります。経済面だけの問題ではなく、安心して産み育てることができる世の中に変わっていくことを願います。
Posted by 雅姫 at 2006年10月18日 18:12
 なんと『19の病院が拒否』となっており、ただただ唖然でした。
 
 産婦人科が閉鎖、集約され、私の近くの市民病院も婦人科だけになり、私の実家の近くの日赤も産婦人科がなくなっています。今回の事件は、医療ミス&設備対応のまずさが重なっ起きた残念な事故かもしれません。
産婦人科もですが、小児医療も受け入れ先を探しているうちに様態が急変した、ということがたびたびあるのに、改善されていないように思えます。
 
 今回のように担当医師があまりにも、納得できない態度だったら・・・
自分ならどうしただろうか?現状の日本では、患者の親族に医療関係者か知識のある人がいない限り、その医師に頼らざるを得ないのがなんとも口惜しいです。

 どうか出産されたお子様がお母様の分も元気に育ってくれるように願うことしか今の私にはできないのですが・・・
Posted by マライヒ at 2006年10月18日 17:39
「生めよ増やせよ」の少子化対策ではなく、“生きるという奇跡”を持って生まれた子供たちを大切に育んでいける社会にしたいものですね。医療の問題、いじめの問題、教育の問題、障害を持っている方たちの問題etc。課題は多いですね、でも、誰もが何かできるはず・・・
Posted by chibayan at 2006年10月18日 17:16